会長 久津見恭典
この度、2024-2025年度の福井北ロータリークラブの会長を努めさせていただく久津見恭典です。
2年前、新谷正嗣会長から会長ノミニーにというお話をいただいた時、なぜ指名したのかという理由は、私に医師という職業背景があるからだと言われました。当時はコロナ禍で社会活動が低迷していたこともあり、新谷会長のこの一言はパンデミックを乗り越えていくためにロータリアンとして何をしたらよいかという課題を医師である私に託されたのであろうと受け取りました。この約3年間に及ぶコロナ禍の経験は、日常生活において、命が脅かされる事がなく、安定した社会生活をおくれるということがいかに大切で得がたいものであるかという事実に改めて気づかされる日々でした。人々の健康維持は人類存亡に通じ、ロータリーの究極の理念である世界の平和を維持する活動の根幹にあるものと考えます。
2024-2025年度のRI会長ステファニーA.アーチック氏は「ロータリーのマジック」をテーマとしました。彼女はこう述べています。「私達は魔法の杖を振って呪文を唱えるだけで会員を増やしたり、ポリオを根絶したり、世界に平和をもたらしたりするわけではありません。それは皆さん次第です。プロジェクトを終えるたび、寄付するたび、新会員を迎えるたびにこのマジックを生み出していくのです。」そして第2650地区 中本 勝ガバナーは「持続可能なロータリーに!共に学び、共に行動」というスローガンを掲げました。
私は2024-2025年度の福井北ロータリークラブのスローガンをは「世界平和のために一歩を踏み出そう」にしたいと思います。世界平和を目指すということは核兵器がない、紛争がない、戦争がないなどの人類間の暴力的な争いを防ぐことだけではありません。病気がない、健康な生活が送れることが平和の基本に通じるのです。私は健康という観点から世界の平和に一歩を踏み出したいと思います。
私の年度ではこの第一歩として、当クラブで初めてとなるグローバル補助金を利用することで持続可能なトンガ王国への医療支援をしたいと思っています。トンガの国民病である糖尿病はその発見が遅れると血管病変の合併症による、心筋梗塞、脳梗塞、腎臓病での死亡率を増加させ、また命には直結しなくても、下肢の切断など社会生活を損なう事態を引き起こしています。早期にこれらの血管病変を発見し、軽症の段階で治療の導入が大切です。これには血管病変の評価を簡便にできる検査機器が威力を発揮します。その検査機器を寄贈することで、多くの糖尿病の患者さんの診断に役立て、更には同一の患者さんを経年的に診ていくことで、リスクの早期発見ができれば、トンガの糖尿病の人々の予後を良くしていく上でこれに勝るものはありません。現地の保健省、国立病院、日本大使館、JICAのご支援を頂きながら早期に着手したいと思っています。
今期は姉妹クラブのフラトンロータリークラブから4名の夏季交換学生を受け入れる年でもあります。また長期交換学生プログラムで3名の学生を受け入れることになりました。米国、スイス、ブラジルの3カ国から訪れる彼らとの交流は私たちロータリアンにとって異文化を知る絶好の機会であり世界の平和を考える一助となることと信じています。そして当クラブの会員の子弟3名が米国、チェコ、ブラジルへと1年間の海外留学に旅立ちます。彼らが海外での生活を通じて異文化を体験吸収し、将来国際的に活躍できる人間に成長できる機会を与えることができるとしたらこれは素晴らしい事です。まさに「ロータリーマジック」ではありませんか。留学生、交換学生の受け入れに際しては、ホームステイ先としてお引き受けいただいた会員の皆様やそのご家族の寛大なご理解、ご協力に対して厚く御礼申し上げます。またそのほかの多くの会員の方々にも、種々の面でご支援下さいますようお願い申し上げます。
数年来地球温暖化の影響もあり、異常気象による自然災害が目立つようになりました。本年元日には能登半島地震があり、未だに多くの方が避難生活を強いられています。一方海外に目を転じればウクライナでは戦争、イスラエル、ガザでも戦争、多くの人命が失われています。地震は自然災害だから仕方がない、これは防ぎようがないと軽視する訳では毛頭なく被災者への温かい支援は不可欠だと考えます。しかし現在海外で局地的におきている戦争という人災は局地にとどまらず世界中を巻き込み、世界の平和を蝕み、脅かしています。これは人間の叡智を結集して絶対に終結しなければならない人類全体の最重要課題です。
ではこの世界平和を築き上げるためにロータリアンとして何が出来るかを考える時、まずは世界に目を向ける必要があります。そのためには、我々福井北ロータリーの奉仕活動を海外交流に向けて行動することで、小さな一歩を踏み出すことになるのではないでしょうか。
会員の皆様、どうぞこの1年間のクラブ運営に、またトンガ王国の医療支援プロジェクトにご協力、ご支援下さいますようお願いして、会長就任挨拶と致します。