母国の温もり

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朴 曉曉

 韓国のオンドルというものは、韓国を代表するものの一つです。オンドルは高句麗時代の遺跡でも発見されたそうです。それを聞くとオンドルの歴史は短くないと思います。オンドルというものは、家の床の空間をあけて、その空間に暖かい空気を入れて、家全体を暖める暖房器具です。韓国ではどこへ行ってもオンドルを設置していない家はまったくありません。だからどこへ行っても暖かい冬を過ごすことができます。

 私はどこの国でもオンドルはあると思っていました。しかし、その考えは大間違いでした。2006年12月のことです。日本で初めての冬を過ごした時、家の中がすごく寒く感じました。その時、私はかなり驚きました。まさかオンドルがないとは思っていなかったからです。日本ではこたつや電気カーペットなどの暖房器具を使っていますが、それで冬を過ごすなんてありえないと思いました。それは、限られた場所しか暖かくないし、それ以外の場所では外へ出ていると感じるような寒さでびっくりしたこともあります。私は「日本人ってこんなに寒い所でもよく寝られるな」と思いました。私は今日本に慣れたかもしれませんが、寝る時の寒さには慣れられないと思いました。

 日本にはなぜオンドルというものがないのか?!私なりに考えたのは、地震のせいだと思います。日本は地震が多いから、床が木で作られています。それに対して、韓国は、地震があまりないので、昔から、土を使って床を作りました。しかし、日本の北海道には床暖房があるらしいです。どんな仕組みでできているかはよく分かりませんが、現在、韓国で設置しているオンドルと大体同じような仕組みでできていると思います。ここで、私はなぜ、北海道以外の所は床暖房がないだろうと思いました。その理由を考えてみましたが、北海道に床暖房がある理由は一つしかないと思います。それは、やはり、寒いからです。そこに行ったことはありませんが、テレビでよく見るからそこの寒さはなんとなく分かる気がしました。韓国の冬は北海道より寒くないですが、やはり寒いですから、オンドルが必要です。北海道も地震があるのに床暖房があるなんて不思議だと思います。

 韓国のオンドルは大きく分けて3つの種類があります。まず、先ほどお話しした昔の伝統技術を使って設置したものがあります。そして、最近はコンクリートを流し込んで、コンクリートが固くなる前にお湯が通るホースを入れる方法があります。これは、お湯の熱で家を暖める方法です。それから、電気を使うものもあります。これは、オンドルがなかった家に使う方法です。電気カーペットのようなもので、床の上に置くものです。しかし、電気カーペットと違って家全体を暖めるので、オンドルだと言います。最近、韓国でよく使っているのは先ほどお話したコンクリートの方法です。

 私はオンドルにかかるお金は無駄だと思ったこともありません。オンドルは、私にとっても韓国人だれにとってもなくてはならないものですから、お金がいくらかかっても設置するし、設置した後の費用ももったいないと思いません。日本人の友達とオンドルにかかる費用について話し合ったことがあります。その友達は、それにお金を使うことはありえないと言いました。確かにそう思うのも間違いないと思いました。なぜかというと、その友達はオンドルというものも知らなかったし、今までそれを考えたこともないからだと思います。もし、私もオンドルを知らなかったらそう言ったかもしれません。それで、私はその友達に、オンドルについての説明をしたりなぜ私はそれにかかるお金を気にしないのかという理由を話しました。それで、友たちは「なるほど」と言いました。友達は「私ってすごく寒がりだからオンドルが欲しいな」と言いました。もし、その友達が韓国に遊びに来たら、ぜひ韓国のオンドルの力を見せてあげたいと思いました。

 私は、日本でどんなオンドルが使えるのかと考えたことがあります。一番いいと思っているのは電気を使うオンドルです。なぜかというと、まず、それは、柔らかいのでもし、地震が起こっても壊れる確率が低いですし、工事費用もコンクリート式より安いからです。そして、もう建てられている家に設置する時も簡単にできます。私が知っている人もこの電気を使うオンドルを使っています。その人によると、日本では、自分が設置したい部屋だけ設置して使っているらしいです。そして、電気代もそんなに高くないと聞きました。それで、私は「設置する時はちょっとお金がかかるかもしれないけど、設置した後にかかる費用がそんなに高くなかったらオンドルを使った方がいいかもしれませんね」と言いました。

 私は日本に来るまで、オンドルについて、まったく考えたことがありませんでした。しかし、今はそのオンドルの大切さを知りました。私にとってオンドルというのは、例えば、母の胸のようなものです。オンドルの中にいるといつも暖かい母の胸の中で寝ているような気がします。オンドルは私に母国の温もりを感じさせるなくてはならないものです。

 このように、皆さんも外国に行ってみたら、母国でなんでもなかったことが、外国では改めて感じることがあると思います。それで、もっと母国のことを知りつつ、関心を持つようになると思います。

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