お客様のために仕事をするということ

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蒋 千里
(ショウ センリ)

 私は蒋千里と申します。中国上海からきました。今まで四年間ずっと福井に住んでいます。中国は日本の隣にありますが、同じ肌の色をしていても、生活習慣や考え方がかなり違います。

 私は主婦です。毎日スーパーで買い物します。スーパーで売っている肉は国産よりアメリカ産とか、オーストラリア産などのほうが安いです。ショッピングーセンダでは八割の商品が中国製らしいです。安いので、よく売れると思います。なぜ日本産が高いのでしょうか。材料や品質のよさはもちろん、商品に対して、生産者は誇りを持つのが大切だと思います。先日テレビである牧場の牧畜に関する報道を見ました。もちろん、牧場の人は牛のえさを大切に選びます。もっと気にするのは、牛に対して、人間と同じように育っていること。ビールを飲ませるし、マッサージをするし、牛の快適な暮らしを見守ります。だから、牛肉が柔らかくて、味がおいしいわけです。国内もさることながら、海外でも人気がどんどん増えていきます。生産者たる者、お客さんの立場を考えて、品質を守っているわけです。

 私も客さんのために、仕事する経験をしました。今年からアルバイトを始めました。レストランでのお皿洗いと点心作りです。ある日、私はお皿をきれいに洗わなかったので、お客さんに文句を言われました。「なぜきれいに洗わなかったの。」と店長さんから聞かれました。「忙しかったから、点心作りを重視しました、お皿を洗う手順を無視しても、速く洗おうと思いました。」と私は答えました。「お客様のおかげで、私たちの給料がもらえる。お客様が来ないと、職場を失う。速く洗わなくてもいいです。きちんと教えてもらった手順どおりに作業するのが大切です。」と店長さんにアドバイスをされました。失敗について、私は深く反省しました。心こめないで仕事すると、どんなに細かい作業でも、ミスになります。小さなレストランであれ、従業員何千人いる大手メーカーであれ、お客さんの立場にならないと、お客さんを失います。

 一方で、中国はこの十数年間経済開発したので、国民の生活が豊かになりました。人々は外国の高級品が気になってきました。食品ならば、体によいとか、味がおいしいとかを中心に選びます。日用品ならば、便利さとか、長く持ち続けられるとかを考えて、買い物します。特に、日本の商品はものすごく人気があります。たとえば、家電製品を購入するとき、皆ソニーや松下などを選びます。長く使えるし、操作も簡単だし、デザインも美しいし、消費者に憧れます。いくら値段が高くても、消費者にとって、ほしいものを買いたいです。だから、よく売れます。それに比べると、国産品は安くて、性能もそんなに悪くないのに、デザインや操作の点でお客さんの希望に合わないから、だんだん人気が失ってしまいました。

 ところで、中国のハイアールをご存知ですか。ハイアールは唯一海外へ製品輸出している国内家電メーカーです。中国の松下と言われています。低迷している中国家電市場に、唯一国民に高く評価されているメーカーです。ハイアールについて、あるストーリーがあります。昔、工場で生産した製品を検査しているある日、一部基準よりわずか低い品質の冷蔵庫を発見しました。もちろん、売れないほどでもないです、もしすごし安く売ると、完売するかもしれません。でも、社長はすべて処理すると決心しました。町の広場で、人々の前で、斧で冷蔵庫を全部壊しました。このニュースは中国で広く報道されました。消費者の立場になって、絶対に上質なものを作って、提供しよう。百パーセント消費者に喜ばれる商品を出すという気持ちをアピールしました。この記事を契機にして、ハイアール製品の人気が高まって、売り上げも右肩上がりになりました。工場の数も国内で増えてきました。国内はもちろん、海外の予約も殺到しました。商品の誇りを強く持って、良い製品を作って、消費者を満足させました。

 しかし、この一年間で、中国輸入食品の安全をめぐって、日本でいろんなニュースが出されました。毒餃子事件とか、メラミン乳製品を原料として作ったお菓子の回収とか、食品産地偽装など問題が出て、中国食品の人気が急に落ち込んでしまいました。特に、毒餃子事件に関しては、日本でも中国でも広く報道されて、大きく注目されました。日本で市販の中国手作り冷凍餃子を食べて、消費者数人が食中毒になりました。検疫の結果は、餃子の具に基準より数倍以上の農薬が混ざっていたことがわかりました。メディアは中国工場まで取材しました。工場生産の映像を通して、かなり良い生産環境であることがわかりました。いろんな設備を備えているし、職人も専門技術を身につけているし、本当に完璧だと思われました。なら、どうして問題が出たのでしょうか。これは職人の心の問題だと思います。餃子作りの誇りを持たない職人が作った餃子はいくら環境の安全性をアピールしても、問題が出ます。この事件に関しては、中国の工場も日本の関連企業もすごく打撃を受けたようです。

 つい最近、アメリカの金融危機により、世界中の景気が一気に悪化しました。日本も中国も多くの企業が影響を受けて、従業員は契約を打ち切られて、大幅にリストラされました。不景気の波に乗って、人々がすごく不安になっています。

 私は中国が大好きで、商品の品質を守らなければ、企業が残らないことをよく知っています。これは国の同胞に伝えたいです。中国製の誇りを持ってほしいのです。そうすれば、心をこめてよい商品が作れるし、企業が潰れないし、自分も企業に残れます。きっと最後に不景気に乗り越えるはずです。私は日本も大好きで、中国商品の品質を元に戻して、消費者の信頼を回復して、日本でよく売れてほしいです。私は国際人として、中日の経済が繁栄していくと共に、両国がお互いに強く結びつくために貢献しようと思っています。

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