方言の物語

Photo

郭 春英
(カク シュンエイ)

 私は二年前に中国の大連からきました。最初来た時の印象は、やはり日本の国、空気がきれいでした。でも歩いている人は少なかったです。そして一番困ったのは、やはり日本語が難しいことでした。

 私は日本人の嫁として来ましたが、日本のルールとか、日本の家庭料理とか生活習慣とか、全然分かりませんでした。うちの家族は夫と義母、私の三人です。

 初めて敦賀に来た日の夜、お風呂に入った時のことです。私は学生の時、本で日本人は毎晩お風呂に入り、世界で一番お風呂が好きだと読みました。これはすばらしい習慣ですね。だから日本のお風呂にはあたたかくて温泉のようにリラックスできる期待がありました。

 最初夫が入り、次に私が入りました。お風呂の湯を手で触ったら、ちょっとぬるかったけど、入りました。だんだん身体が寒くなってきました。でもがまんして・・・がまんして・・・あぁ・・・もうがまんできないとすぐあがって、夫を呼びましたが、誰も来てくれませんでした。それで私はお湯を出したかったけれど、使いかたが分かりませんでした。もうすぐあがって服をきました。最初の印象は日本のお風呂はとても寒かったです。ちょっと不思議でした。今、思いだすと日本のお風呂は寒くなくて、ただ、自分がお湯をどうやって出すかやりかたが分からなかっただけでした。

 その時、私は日本語は大事だと思い日本語を勉強したい気持ちが強くなりました。そして夫に学校を探してくれるようにたのみ、嶺南センターでの日本語の勉強が始まりました。

 それから、まるまる二年経ちました。やっと普通の生活の言葉はわかるようになりました。でも、日本には方言が多いことにびっくりしました。福井弁とか滋賀弁とか九州弁とか迷う時があります。

 例えばこんなことがありました。

 "ちょっと聞いての"私のお母さんは、夏、畑の仕事をしています。私は暇なとき、行ったことがあります。

 そのときお母さんは「あの〜べとにばいをちっくりさすってわかるかと聞いてきました」えーっ?誰に話しているの?あんたしかおらんやんか。ほや・・・ほや・・・二人笑いました。「べとにばいをちっくりさす」の意味は「土に棒を刺す」と教えてくれました。

 私は学校で勉強していますが、ただ単語を組み合わせて話すだけで、日本語の意味がなかなか理解できません。

 私のような日本で生活している外国人たちには、本当に大変だと思います。毎日、普段の生活の中では、日本語しか使えません。いつもかわらない言葉がでてきて、毎日困っています。こんなこともありました。

 私は週二回学校に通う以外は、家に居るしかありません。お母さんとの会話がとくに多いです。だから困ったことが多いです。

 ごはんを食べる前、お母さんはいつも「あんた、ごはんよばれる?」と聞きます。(どうしてごはんをよばれるというのかな?おかしいなあ。何のことを言っているのかな)
「ごはんを食べると言う意味ですか?」「そうだよ。ごはんを食べるかと聞いたんだよ」と教えてくれました。

 また、「今日はゴミをほかす日だよ。部屋のゴミがあったらだしてね」(なんでゴミをほかすと言うのかな?捨てるじゃないの?)と思いました。
 「ほかすって?」「そうだ、そうだ、捨てると言うね。ほかすは、捨てるの意味だよ」。
 私は、これは方言だと気がつきました。
お母さんに聞くと、「ほや、ほや、」とうなずきました。

 つまり、生活の中には、山みたい、海みたいにしらない日本語がいっぱいあります。私は、本当に日本語は、世界一難しいと感じました。また標準語だけでなく、方言もあります。ときどき頭が痛くなります。だけど、どんなに難しくても、私には日本人のように話したいと言う夢があります。そして日本の子供達に、中国の文化や伝統を教える、優秀な中国語の先生になりたいです。

 そのためにいろんなチャレンジをしたいです。

 この二年の間に日本語能力試験も受験しました。論文を作ったり、人の前で話す経験もしました。これらは、私にとって大切な経験でした。私に勇気を与えてくれました。

 最後に、福井で生活をしてみて、周りの友達や先生、家族の温かさを感じました。これまで、がんばってこれたのは、日本人の配慮と応援のお陰と心から感謝しております。そして日本と中国のために、正しい日本語で通訳の仕事もしてみたいと思うようになりました。その夢が叶うまで精一杯努力していきたいです。

 今日、このスピーチの機会を与えてくださった、福井北ロータリークラブの皆様、本当にありがとうございました。

 私は、日本に来てたくさんの優しさ、愛をもらいました。ありがとうございました。感謝!!

戻る