今日こうして皆さんの前で、福井県で学んだことについて話すことができてとても嬉しいです。まずはその前に、そもそもなぜニュージャージー州の小さな町から来た青年が今日ここにいるのか、その理由から説明しましょう。

　僕は幼い頃から日本と個人的につながりがあったように思います。３歳の頃、僕のお気に入りのテレビ番組は日本の戦隊アニメでした。ゴジラは世界で一番カッコイイ怪物だと思っていましたし、また７歳の時には空手も習っていました。ま、空手はアニメで見るよりもかなり難しいとすぐにわかりましたが。そういえば、僕の生年月日は１９８３年４月１５日、東京ディズニーランドのオープンした日に生まれました。そして1997年、僕は13歳になり日本語を独学で勉強し始めました。もともと芸術に興味があったので、日本語の文字の形が僕には魅力的に感じ、ひらがなは２日間で覚え、カタカナは３日間で覚えることができました。漢字は・・・えーっと、まだ勉強しています。

　高校卒業後の2001年、ロータリークラブにより僕の故郷の7470地区と四国の2670地区との交換留学プログラムで初めて来日しました。西日本の美しい景色をたくさん見て、四国のホストファミリーと一緒に過ごしました。2003年から2004年には、滋賀県立大学の３年生として在籍し、その間２３以上もの県へ旅行をして友人ができました。その後アメリカへ戻り、日本人や日本社会についてさらに深く学ぶため僕は日本史と人類学を貪欲に学びました。2001年初めての来日の後、日本で学校の英語の先生になりたいと決心し、そして2006年、その夢は叶いました、僕は幸運なことに福井県のALTに選ばれ、だから今日こうしてこの場にいることができるのです。

　僕の経歴を説明したことで、皆さんはおそらく単に僕を理解しただけではなく、学問的な視点からも、趣味の視点からも、僕の人生の大半は日本とつながっていたということがわかるでしょう。福井に来る前から日本についてあらかじめある程度精通していた、だからこそ、僕はいかなる挑戦にも自信がありました。しかし福井へ来てはじめて、僕の知識はなんとわずかなものだったのかと圧倒されたのです。

　どうぞ僕が福井で学んだことを説明させてください。偶然知った福井弁があります。電車の中で老人の女性とした会話をけして忘れることはないでしょう。

Woman: 　ばあちゃん腰てきねぇんやって。あら！いっけえ人じゃのぉ！こっちで外人なかなかえんで。
Greg: Huh?　

　今考えてみれば、あれが僕と福井との初めての出会いでした。

　そして、ここで暮らすにつれて僕と福井の関係はますます深くなりました。

　僕は学びました、日本のバスは季節によって時に時刻表を変更することがあるということを。そして福井から大野へ走っているバスも時おり"最終バス"は他の日の最終バスよりもかなり早く発車してしまうことがあると知りました。ちなみにこれは、福井駅から大野までタクシーで約9500円かかるということも同時に学ぶことができました。

　僕は学びました、僕の日本語力は、外国人が少ない地域で生活するのにどれくらい不足しているのかを。

　僕は学びました、温かい秋の夕方、川から飛んできた鶴の美しさを。

　僕は学びました、福井に来てはじめてソースカツの絶妙な組み合わせを。

　僕は学びました、よく晴れた冬の日雪に覆われた山がどんなに美しいのかを。

　僕は学びました、単にこんにちはと声をかけるだけで他言語を話す人達と簡単に友達になれることを。

　これらは僕が福井で経験した事の一部にすぎません。けれど、経験とはなんでしょう？個人的に、経験とは何か新しいことを学んだ証拠だと僕は信じています。そして、僕の長い日本との関わりにもかかわらず福井が僕に教えてくれた新しい、素敵な、そして異なることすべてだと思います。そして僕にはまだたくさん学ぶことがあります。これは重要です、なぜなら僕の世代の多くの人々はそれまでの人生で得た知識のみで満足してしまっているからです。テレビを見たりやインターネットを読むにつれて、世界中の若者達が世界には何が一番良いか知っているから誰にも何も言われたくない、そして、答えをもぅすでに分かった気になっている、という事を知りました。しかし僕は彼らのようには思いません、実際、答えを分かったつもりでいる人達には、人から聞いたり学んだりするのが一番良いでしょう。これは、自分の知識と経験不足のため、時に困惑し時に失望し、けれど福井で貴重な生活をした結果、僕が日本で学んだ最も貴重な教訓です。この認識が、たくさんの人々と触れあい、けして自分の考えだけで満足せず、僕を成長させ伸ばす動機づけとなっています。日本のことを詳しく学ぶためにここまで来ましたが、福井の方々のおかげで一番良く分かったことは自分自身についてです。今後福井での経験すること、またあなたの国について、また自分自身についてたくさん学べることを楽しみにしています。どうも有難うございました。